一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

  1. Home >
  2. 最新情報 >
  3. アクティビティ >
  4. コラム >
  5. 専務のツブヤキ >
  6. 「専務のツブヤキ」~リスクマネジメントと新政策(IT導入補助金、レガシーシステムの刷新)の始動~

「専務のツブヤキ」
~リスクマネジメントと新政策(IT導入補助金、レガシーシステムの刷新)の始動~

2018.05.15

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 私的には リスクマネジメントに注目していた安倍政権でしたが、年明けから森友、加計と支持率は危険水域まで低下しているものの予想通りしぶとく持ちこたえています し、秋の総裁選はやはり安倍総裁でという声が大勢のようです。野党もそろそろこのスキャンダルネタで安倍政権を倒そうというのは再考を迫られているのではないでしょうか。そのため、柳瀬元総理秘書官の国会招致を証人喚問から参考人招致で妥協し、国会を正常化させたのでしょう。

 というか、 国民の関心は政権スキャンダルよりも、外交に向かっているには明らか です。トランプ政権は歴史的な米朝首脳会談を6月2日に決定し、北朝鮮が拉致していた米国人3名も取り戻しました。1953年ですから65年間も続いた朝鮮戦争の休戦状態が終戦、平和条約に向かうかは米国と北朝鮮が完全な非核化の手法で合意できるかどうかにかかっていますが、 首脳会談の開催が決まった以上、ある程度非核化について落とし所が見えているということかと推測 します。そうするとトランプ大統領は歴史的な偉業を成し遂げるかもしれません。日本の拉致問題も、小泉訪朝以来の大きな転換点、チャンスと言えるでしょうし、良い方向に向かってほしいものです。

 経済も、米国がイランとの核合意離脱で中東情勢が不安定化するとの思惑から原油価格が70ドル/Bを越えてきましたが、シェールオイルを生産している米国の株価にはむしろ好影響、それと連動しやすい日本の株価も最近は日経平均が2万3千円を伺えるところまで値を戻してきました。ただ、これがさらに上に向かうのか、また押し戻されるか、暫くはちょっとわかりません。丁度、5月は企業の決算時期です。トヨタの2期ぶりの最高益を始め企業業績を見る限り日本経済は順調と言えるでしょうが、来期は保守的な業績見通しを示しているので、 株価は円相場次第と思いますが、今後の企業業績の上方修正がどの程度になるか次第 と思っています。

 最近、CSAJはお陰様で経済産業省の新政策の検討プロセスに深く関与するようになりました。専務の私も同省の新政策を審議する研究会に委員やオブザーバーとして参加することになりました。例えば、中小企業庁の「スマートSME研究会(主査:一般社団法人クラウドサービス推進機構(CSPA) 松島桂樹理事長)」は、IT導入補助金の運用改善について審議しており、既に 認定情報処理支援機関の創設、同機関の見える化の大枠について検討され、今秋から同制度が実施される予定 と聞いています。これには、CSAJの「中小企業IT導入支援WG」の意見がほぼ反映されており、同研究会の委員として私もそれを見届けさせていただきました。次は情報技術利用促進課及び情報産業課の「 デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた研究会 (DX研究会:主査 南山大学 青山幹雄教授)」ですが、レガシーシステムの刷新を中心に審議し、7月末頃までに予算、税、財投、法律(次期国会)を絡めた新規施策を打ち出すとのことです。第1回目のDX研究会(非公開)は5月11日に開催されました。東京海上の隅会長から素晴らしい経験談がプレゼンされ、その後、大手ユーザー・ベンダー企業の委員から、

 ① 現状の レガシーシステムの見える化 が必要
 ② ベンダーとユーザーの新しい関係が必要( 丸投げからの脱却
 ③  攻めのIT投資のための人材育成
 ④  協調領域のプラットフォーム化 (標準化など)
 ⑤  データの利活用促進
 ⑥  経営者のリーダーシップ

などの論点が指摘されました(非公開ですが、当コラムでこれくらい書くのは勘弁してもらいましょう(^-^;)。

 オブザーバーで聞いていた私の感想ですが、個社のレガシーシステムの刷新は社会全体でみれば部分最適にしか過ぎず、一時的にはレガシーは解消になるかもしれませんが時を経ればまたレガシー化する気がします。 国としては個社の部分最適だけでなく全体最適を目指すべきではないのか 、それがConnected Industries(CI)であり、最終的には第4次産業革命につながっていくということではないかと思いました。 CIの肝は「データ利活用」であり、特に協調領域でのデータ利活用をどう推進するか です。IT投資を攻め(IoT、AIを駆使した新規ビジネスの創造)と守り(バックオフィス部分)で分けると、明らかに攻めの部分は競争領域で最重要課題は人材育成でしょう。一方、協調領域は守りの部分に多く存在し、そこのデータ利活用が重要ではないかと私は考えます。そうなると、最近CSAJ内に設置した 「バックオフィス生産性WG」でフォローしながら上手く国の新政策に反映させられないものか と思う次第です。今後の同研究会の審議に期待したいと思います。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。