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コラム「経営に役立つ会計」
2010年11月1日
「異なる目的には異なる管理会計を」
CSAJ 監事 公認会計士 山田隆明
◆管理会計の実務のなかで私が教えられたこと。◆
(1)「目的」と「手段」を見誤ると失敗する。
(2)「管理会計実務は各社各様。統一的なものはない。」
(1)「目的」と「手段」を見誤ると失敗する。
◆「製品1個あたりの原価を知りたい」とA社長。
「何のために知りたいのですか?」
「そう言われても・・・」「でもその位のことは経営者として知っておくべきでは・・・。」
「では、手間ひまかけて把握した原価情報を具体的に何に利用しますか?」
「・・・」
●A社長は、製品1個あたりの原価を知ることを「目的」にしてしまっている。
ではこのままA社長の要望どおり進めたらどうなるであろうか?
a)製品1個あたりの原価を知ることが目的である。
⇒計算結果が出たらそれで目的が達成されることになる、
⇒したがって、その原価情報が活用されることはない。
b)上記に反して、仮にその原価情報を活用しようと試みたとしても、
⇒活用目的に合致する保証はない。
⇒合致しなければ、別の仕組みを作り直さねばならなくなる。
いずれにしてもうまく行かないであろう。
この事例に限らず、同様の失敗を管理会計ではよく見かける。
●これは、「目的」と「手段」を見誤ったことによる失敗である。
製品1個あたりの原価を知ることは「手段」であり、「目的」はもっと先にある。
例えば、製品の売価算定という目的、原価低減という目的・・・。
原価情報という「手段」を用いて、売価算定すなわち得意先との価格交渉という「目的」に活用する、実際原価情報という「手段」を用いて、目標原価に近づけるすなわち原価低減「目的」に活用するなど。
こうは言っても、何も原価情報の把握に反対しているわけではない、目的を明確にしたうえで行うのはもちろん有益である。
しかし、【「目的」がないのに「手段」だけあっても意味がない。】
●ただ、ややこしいことに【財務会計】は管理会計とは事情が異なる。
財務会計は、外部に報告することがそもそもの「目的」であるから、会計基準(「手段」)に準拠して財務諸表を作成しさえすれば事足りてしまう。
そのため「目的は何か」などと考える必要がない。
管理会計も同様だと勘違いしてしまい、目的云々を考えずに行動してしまうことが、よく見かける失敗のパターンといえよう。
(2)「管理会計実務は各社各様。統一的なものはない。」
●上記(1)で、管理会計には各々「目的」があって、それぞれに応じた「手段」があると述べた。
となると、会社によって「目的」とするところは異なるのだから、「手段」たる管理会計も会社ごとに異なるはず。
したがって、
【管理会計実務は各社各様で統一的なものはない】
といえよう。
さらには、同じ会社であっても
・時期
・外部環境
などによって、
「目的」は逐次変化することから、その都度「手段」たる管理会計も変わってくる。
すると、上の結論は拡張されて、
【管理会計実務は、会社が異なればもちろんのこと、時期や外部環境が変わってもそれぞれ異る。】
●私の失敗談だが、数年前に「管理会計パッケージソフト」開発に取り組んだことがあった。
世の中に財務会計パッケージソフトの管理会計オプションなどはあるが、私はもっと積極的に、「このソフトを使えば会社が儲かる会計ソフト」があるはずだと考えた。
販売管理システムは売上アップにつながる。
生産管理システムは生産性アップにつながる。
それなら、
会計管理システムは利益アップにつながるはずだと。
しかし、管理会計が各社各様なことに気付いたため、汎用パッケージ化は無理と判断した。
●当初は、「パッケージソフトを完成させれば一つで多くの経営者のお役に立つことができる」と考えたが、パッケージソフト化が無理だと判断した後は、元どおり会計事務所業務に専念することにし、管理会計については「一社ずつ、マンツーマンの」サポートを行っている。
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
URL:http://cpa-yamada.com/category/1304992.html

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田隆明公認会計士事務所開業、現在に至る。
−−−税務だけでなく、経営者会計<管理会計、経営指導>を。
2009年9月に社団法人コンピュータソフトウェア協会監事に就任。
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