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コラム「経営に役立つ会計」
2011年4月1日
「最低限必要とされる利益水準」
CSAJ 監事 公認会計士 山田隆明
●設備投資の意思決定は、
(1)自社の強みを活かして (内部環境)、
(2)マーケットを調査した上で (外部環境)、
判断すべきことを前月号で述べた。
◆⇒では、より具体的な判断基準として、金額的に
○要求されるリターン(利益)の水準はどのくらいか?
○投資額回収までにどういうハードルがあるか?
○税金はどういう位置づけにあるか?
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◆自分が製造業の会社を設立するケースを例に考えてみよう。
○まず設立時に、
・借入を行い(全額借入で)設備を購入するとする。
○稼働して以降は、毎期次のような流れになる、
・売上を計上し、
・費用を差引き、
・税引前利益、
・税金を納付し、
・税引後利益、
・配当を支払い、
・借入金を毎期返済して、
・内部留保へ
●数値例を入れてみると (万円)
・借入 = 設備購入 1,000
・売上 400
・費用(*) 200
・税引前利益 200
・税金納付 80
・税引後利益 120
・配当 10
・借入金返済 100
・内部留保へ 10
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■これから、次のことがいえる。
(1)借入金返済は税金を納めた後に行う。
すなわち、借入金返済は税務上損金にならない。
→借入をして設備投資を行ったら、
○利益を出して、
○【税金をきちんと払って】、その上で
○借入を返済していかなければならないのである。
(2)このケースはかなり高収益であるが、内部留保に回せるのはごく僅かにすぎない。
売上に対する利益率が50%、投資に対する利益率も20%もある。
→それでも、売上400のうち内部留保に回せるのは、「たった10にすぎない」。
まずまずの売上をあげ、高い利益率をあげても、この程度である。
→【売上で獲得したものを、「内部留保まで残すことがいかに大変なこと」か。】
*ただし、キャッシュは少しややこしい。
減価償却が影響する。
減価償却はキャッシュフローを伴わない費用のためである。
この場合の減価償却費の分はキャッシュが減少しないのであるから、
キャッシュの増加は、内部留保プラス減価償却費で(例えば減価償却費を50とすれば)60となる。
◎さらに、
いつもこのように順調に行くとは限らない。
リスクに備えて、「リスクの分だけ余計に利益をあげる必要がある。」
(3)この好調が何年続くか? この見込に応じて適正な借入期間を設定しなければならない。
このケースは、借入金を毎年100づつ10年間で返済する、すなわち10年の長期借入である。
→ということは、
○この好調を10年以上持続させないと、借入金返済が重くなり、資金繰りが苦しくなる。
あるいは、
○返済期間がこれより短いと、同様に、借入金返済が重くなり、資金繰りが苦しくなる。
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■結論
この例はあまりにもシンプルだが、
○【思いのほか多額の利益が必要なこと】がお分かりいただけたであろう。
○【内部留保へ行き着くには売上の後にいくつもハードルを超えなければならない。】
○【利益を上げ、きちんと税金を払って、その上で借金を返済していかなければならない。】
○言い換えれば、
【それだけの利益が見込めないのならば、借入をして設備投資をすべきではないのである。】
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■対策
設備投資意思決定は重要な経営意思決定であり、不安を伴うものであるが、
⇒一連の「管理活動」をきちんと行うべきである。
(1)【計 画 】 「設備投資計画」を「返済計画」まで含めてきちんと練り上げ、
(2)【チェック】 実行後はタイムリーに適切な「打ち手」を講ずるべくチェックする。
⇒これが【不安の軽減につながる。】
筆者略歴
山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
URL:http://cpa-yamada.com/category/1304992.html

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田隆明公認会計士事務所開業、現在に至る。
−−−税務だけでなく、経営者会計<管理会計、経営指導>を。
2009年9月に社団法人コンピュータソフトウェア協会監事に就任。
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