コラム「経営に役立つ会計」

2011年9月1日

「節税対策の罠」(1)

CSAJ 監事 公認会計士 山田隆明

◆ある節税本に次のような「節税対策」が紹介されています。

"給与所得のあるサラリーマンは、節税のためにあえて赤字になるような副業をするのがよい。
なぜなら、副業(事業所得)の赤字で給与所得の黒字の一部を相殺できるので、その分だけ総所得を少なく納税額を少なくできる。"

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●この「節税対策」が好ましくないことは、「キャッシュベースで考えれば」明らかです。
たしかに税金節約分だけキャッシュ流出は抑えられます。しかしその前に、副業の赤字の分だけキャッシュは流出してしまっています。

ここで、所得以上に課税されることはないのですから、税金節約による抑制よりも副業赤字によるキャッシュ流出の方が多いはずです。
すなわち副業を行ったために流出したキャッシュの方が多いわけです。

節税と称しても、結果的にはわざわざお金を捨てただけのことで、最初からきちんと納税した方がお金は残ったわけです。

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●今日わが国の法人の約7割が赤字と言われています。なぜこんなに赤字法人が多いのでしょうか。
おそらく税金を納めるのが嫌だからでしょう。
黒字であれば税金を納めなければならないため、なんとか赤字にしようとの想いから誤った
節税対策に飛びついてしまうケースがよく見受けられます。

⇒しかし、その結果、
【キャッシュを流出させてしまい、会社の財務基盤を脆弱化させてしまう。】

⇒あるいは、
【不足したキャッシュを調達するため、返済見込なき借入や支払手形に手を出す。】
会社の存続すら危くなる。

*誤解のないよう申し上げますが、私は節税対策をすべて否定する訳ではありません。
良い節税対策も多くあります。良いものは取り入れてください。

○しかし、この例のように、実際にはそうでないケースが多いのも確かであります。

●他にも弊害があります。

○小手先の節税テクニックなどに体力を費やしていたのでは、経営者本来の仕事ができるでしょうか?
経営者の仕事は、ビジョン・戦略の策定、経営意思決定、資金調達、業績管理、従業員啓発等、山ほどあるはずではないでしょうか。

○このような小手先の節税に走る経営者を見て、従業員たちはどう感じるでしょうか?
本当にヤル気を出して仕事に励もうとするでしょうか。
本気で付いて来てくれるでしょうか。

■結論
【会社に好ましくない節税対策にムダなエネルギーを費やすべきでない。】

■やはり、
【会社は利益を出して、利益を調達源泉として、キャッシュを増やしていく。】
その際、納めるべき税金はきちんと納める。
これしかありません。

 

(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
URL:http://cpa-yamada.com/category/1304992.html
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1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田隆明公認会計士事務所開業、現在に至る。
−−−税務だけでなく、経営者会計<管理会計、経営指導>を。
2009年9月に社団法人コンピュータソフトウェア協会監事に就任。

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