コラム「経営に役立つ会計」

2011年12月1日

「数字による管理で軽減できるお金の苦労!!」
---安心できる経営へ--

CSAJ 監事 公認会計士 山田隆明

◆創業者社長の先兵衛さんは、ヤマダ製菓株式会社(仮称)を裸一貫から地元の中堅企業にまで育て上げた人です。
座右の銘は「夢とロマン」「勘と経験」で、経営者に必要なのは人間的な魅力だと考えています。

息子である二代目社長の要管さんはT大卒のインテリで、人間的な魅力に加えて「ロジックとくに会計理論」
および「数字による管理」も重要と考えています。
会計理論に基づいた経営判断をするとともに、社長室でパソコンを睨みながら仕事をしています。

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○要管社長が就任してまもなく、社員が大挙して社長に詰め寄りました。

(大番頭Aさん)
「あんたの言うロジックとやらでは人を惹きつけることはできないよ。会社は人だよ、情の世界なんだよ。
あんたは大学出のエリートでかつ経験も乏しいから分からないだろうけど、そういうもんじゃないんだよ、
理屈より経験なんだよ。先代のやり方を踏襲して、ひたすら経験を積んで勘を養うべきだよ。
---やっぱ、羊羹はわしらの口には合わんわ---」

(工場長Bさん)
「何より現場が第一だでよ。数字による管理とか言っとるけど、日常業務は現場で起こっとるんだでよ。
先代は毎日時間がある限り現場を見とったよ、現場のモンといつも話しとったよ。現場を常に把握しとったよ。
だからいつも正しい判断をすることができたんだ。---わしゃ、羊羹より煎餅のほうが好きじゃのう---」

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○しかし、要管社長は自分の考えを主張して引きませんでした。
こう言って反論しました。

(Aさんらに)
「勘と経験」も大事ですが、一方で「ロジック特に会計理論」も大事です。
たしかに経営者の方の「勘と経験」は鋭いことが多く、侮れないものです。
しかし、あくまで自分だけの体験にすぎません。また時とともに陳腐化もします。
これに対して、「ロジック」は広く一般に認められたものでかつ永続的なものです。
これからの変化の激しい時代に対応するには「ロジック」は必要なのです。

(Bさんらに)
たしかに現場主義は大事です、おっしゃるとおり日常業務は現場で起きているのですから。
ただ、現場を主観的にみるだけで十分でしょうか?
現場の人に「がんばっているかい?」と聞けば、必ず「頑張ってますとも」と答えるでしょう。
となると、同じ現場主義でも「客観的な」管理はやはり必要です。
その客観的な「管理の指標」は「数字」です、「数字」は嘘をつきません。
当社は今後ますます拡大し社員を増やしていきます、そのとき多くの社員の方に能力を発揮してもらうには
「数字による管理」が必要なのです。

○このとき納得のいかない何人かは「やはり羊羹より煎餅だったわい」との捨てゼリフを残して辞めていきました。
しかし、要管社長は自分の考えを貫き通しました。

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●大事なことは、要管社長も決して先代のやり方を否定しているわけではないということです。
先代のやり方は大切だ、ただそれだけでは「詰めが甘くなる」ことを理解しています。
彼は、先代のやり方を踏襲し、それに加えて自分の思うところも実践しているのです。
自ら経験を積み、現場主義も実践しています。その上で、会計理論と数字管理も取り入れています。

そして今では、
(1)いくら難しい意思決定にあたっても、バックに理論的な裏付けが加わったため、判断に自信が付きました。
(2)また常に数字を見ていますから、状況を正確に把握でき、適切な判断ができるようになるとともに社員に対して自信を持って指示できるようになりました。

おかげで、会社は順調に発展し続け、あの事件から10年後には東証一部上場を果たし、
それから7年経った今も彼は立派に会社を成長させています。

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●よく「経営者は孤独だ」とか「お金の不安は社員には話せない」と言われます。
経営者がいつも「お金の心配」に苛まれていては「安心して経営はできない」でしょう。

これは裏を返せば、
「会計理論」と「数字による管理」をきちんと行えば「安心して経営できる」。

●また、社員の側からもが社長を説得するときにも、「会計理論」と「数字による管理」は効果を発揮します。
たとえば社員が社長にモノを言おうとしたとき、単に「勘と経験」だけではなかなか社長には
太刀打ちできるものではありませんが、「会計理論」と「数字による管理」で理論武装すれば説得力が増します。
そうなれば社長としても安易には否定できなくなり、それなりの理論武装が必要になってきます。

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■結論
「夢とロマン」「勘と経験」はたいへん大切ですが、それだけでは「詰めが甘く」なります。
「会計理論」および「数字による管理」によって、説得力が増し、「経営に安心感」が生まれます。

 

(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ
URL:http://cpa-yamada.com/category/1304992.html
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1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田隆明公認会計士事務所開業、現在に至る。
−−−税務だけでなく、経営者会計<管理会計、経営指導>を。
2009年9月に社団法人コンピュータソフトウェア協会監事に就任。

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