CSAJグリーンITセミナー
ソフトウェアから考えるグリーンIT −ITによるエコへの取り組み− 実施報告

 平成20年10月6日(月)、市ヶ谷健保会館会議室にて、CSAJ主催(協力:マイクロソフト株式会社)グリーンITセミナー「ソフトウェアから考えるグリーンIT −ITによるエコへの取り組み−」が、開催されました。(参加62名)
 はじめに、CSAJ和田会長より開会挨拶が行われ、セミナーが開演されました。

基調講演 『日本政府におけるグリーンITへの取組』

高濱 航 氏(経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課 課長補佐)

 政府としては、IT各機器の省エネ、データセンター、ネットワークの省エネ、半導体の省エネ等の技術開発をグリーンITプロジェクトとして進めていますが、これらは低炭素社会の基礎をなすものと考えています。また、ITは様々な産業分野において活用されており省エネに貢献していますが、工場の最適制御や運送における最適ルートの決定など、ソフトが果たすその役割は非常に大きいです。グリーンITの推進は、我が国が掲げている2050年CO2半減目標実現のためには欠かせないものであり、ハードとソフトの両面で進めていくことが重要です。経済産業省では、グリーンITイニシアティブとして、産学官の連携強化(グリーンIT推進協議会の創設による連携)、政府の役割(革新技術の開発支援等)、国際連携・協調(海外との連携等)の3つを柱として掲げ進めています。政府としては、技術開発の他に、企業におけるグリーンITへの積極的な取り組みが、環境貢献への見える化として形をなし、新たな価値観の醸成や社会的信頼の向上に繋がり、ビジネスの成果にも結びつくような好循環に繋がるよう、見える化のための制度設計等を進めていきたい、とのことでした。

グリーンIT 各社の取組1 『QND PlusによるPC消費電力の大幅削減』

平居 透 氏(クオリティ株式会社 技術本部 本部長)

 IT機器の消費電力削減としては、クライアントPC、サーバー、データセンターの3つへのアプローチがありますが、クオリティでは、主にクライアントPCそのものの電力消費をどう削減するかという観点から、Quality Power Management(QPM)を作りました。QPMでは、省電力ポリシーを設定でき、PC利用用途別(パワーユーザー、アドミニストレーター、制限ユーザー)にポリシー(CPU制御、電源設定など)を設定できる仕組みとなっています。PCの機種にもよりますが、サスペンドや休止よりも電源OFFのほうが、消費電力が高い場合があります。電源OFFの場合には、LANやモデムカードに電気が流れますが、サスペンドなどの場合はそこに電気が流れないのが要因です。QPMでは、事業所単位や企業単位でレポートを出力することができ、見える化の観点からも使いやすいソフトウェアになっています、とのことでした。

グリーンIT 各社の取組2 『グリーンIT化機能を搭載したツールの活用、コンシューマユーザーへのアプローチ』

高橋 啓介 氏(株式会社インターコム 代表取締役社長)

 一般的に企業ユーザーはグリーンITに関心が高いですが、コンシューマユーザーはまだまだグリーンITへの関心が低いのが現状です。昨今、1家庭3台PCを持つ時代になっています。コンシューマユーザーがグリーンITに取り組めば、その効果は大きいと考えます。PCの快適化、高速化の統合ユーティリティソフト「SuperXP Utilities Pro6」では、パソコンの様々な無駄を省くリソースセービング機能を搭載し、ノートPCの温度やHDDの温度の可視化、電源や消費電力の管理ができます。コンシューマユーザーは、PCの故障には高い関心を持っています。そのため、PCの故障につながる温度上昇やHDDの劣化状況を可視化することで、コンシューマユーザーは故障を防ぐことを目的に、グリーンITにつながる省電力化を意識するようになります。その他、印刷すると2枚にはみ出してしまうWebページを自動調整により紙一枚に印刷して、インクや紙を節約するエコ印刷機能などもあります、とのことでした。

パネルディスカッション
 『日米「グリーンIT」の取り組みとソフトウェア業界への期待』

◇パネリスト
 Rob Bernard氏(マイクロソフト・コーポレーション 最高環境責任者)
 和田 成史 氏(CSAJ会長/株式会社オービックビジネスコンサルタント
           代表取締役社長)
 徳永 貴士 氏(インテル株式会社 マーケティング本部 デジタル・エンタープ
           ライズ・グループ 統括部長)
◇ファシリテーター
 前川 徹(CSAJ専務理事)

 はじめに、徳永氏より、インテルのグリーンITへの取り組みについて、紹介がありました。グリーンITについては、可視化と無駄をなくすことが必要であり、半導体としては製造プロセスの進化(微細化)とマルチコア化により、電力効率に優れた製品の開発を行い、環境に関する貢献を進めていきたい。インテルとしては、ハードウェア製品の提供はできますが、その機能を引き出していくソフトウェアとの連携が重要であると考えています、とのことでした。

 次に、Bernard氏より、「グリーンITで実現する地球環境保護 マイクロソフトの取り組み」について、紹介がありました。マイクソフトでは、ソフトウェアそのものが消費する世界全体のエネルギー消費量の2%部分での省エネに取り組むとともに、残りの98%のエネルギー消費の省エネについても、ソフトウェア企業として積極的に貢献したいと考えています。また、様々な環境関連組織が掲げている目標を達成するために、ソフトウェアが持つ可能性により、支援したいと考えています。しかし、グリーンITにおいてまず取り組まなければならない課題は、技術ではなく、人々の認識と行動を変えることです。現状は、世界のIT専門家の15%しか電気料金の内訳や明細をみていません。また、世界全体で平均的なCPUの活用度は15%に満たない一方で、それを冷却するために、大半のデータセンターは過度に冷房をきかせています。そこで、マイクロソフトでは、世界最大規模のデータセンターの運用者としての経験を生かし、ベストプラクティスをまとめ、お客様に提供したいと考えています、とのことでした。

 次に、和田氏より、奉行シリーズとグリーンITについて、紹介がありました。オービックビジネスコンサルタントでは、アプリケーション開発をしていく会社として、ハードウェアの機能とOSの機能をいかに効率よく活用してCO2削減に向けて努力していくかが、重要な課題です。具体的には、マルチコアを最大限に活用することによって、電力消費量が5〜6割削減できます。また、OSの仮想化技術を活用することにより、サーバーを集約してIT資源の効率化をし、サーバー台数の大幅な削減とクライアントにおける消費電力の効率を行うことにより、電力消費量を1/2に減少できます。ハードウェア、OS・ミドルウェア、アプリケーションが三位一体うまく協力することによって、CO2削減がより効率的に行われると確信しています、とのことでした。

 パネリストの説明をうけて、ディスカッションが行われました。ファシリテーターの前川氏より、ソフトウェア企業には何が求められているのか、という質問が投げかけられました。徳永氏からは、効果を可視化する、無駄を見つけて効率化すること。Bernard氏からは、いかにしてソフトウェアのもてる潜在力を良い形で引き出すことができるのか、パワーをきちんと捕まえるための研究開発が必要。和田氏からは、グリーンIT元年、次世代に向けてのスタートとして、時代的要請に応える責務である。とのご意見でした。
 次に、前川氏より、グリーンITは、企業の社会的責任(CSR)として捉えるべきなのか、もしくはビジネスチャンスと捉えるべきなのか、という質問が投げかけられました。徳永氏からは、グリーンITというと省エネが取り上げられるが、グリーンITの本質は、無駄をなくして効率化していくことである。グリーンITを省エネと捉えずに、ITの効率化を進めるためのお客様にご理解いただくためのツールとして考えると、CSRではなく、ビジネスにつながるものと考えている。Bernard氏からは、ビジネスチャンスということも合意するが、新しいビジネスとしての革命的なチャンスがあると考えている。新たなIT革命のスタートを切ったところだと考えるべきである。和田氏からは、CSR、ビジネスチャンス、両方ある。新しい時代に向けて、ビジネスチャンスがたくさん生まれてくるのではないか。次のステージアップを考えていく、全ての見直しをする時代に突入する。そこに大きなビジネスチャンスがあるのではないか。とのご意見でした。その後、登壇者よりまとめのコメントがあり、最後に前川氏より、ソフトウェアの役割は非常に大きい、ハードやOSの持っている省エネ能力を引き出していくのはソフトウェアということ、時間ではなく知恵を使って仕事をする、ITを使って効率を上げていく、効率の上がるようなITを生み出していくことが重要ではないか、とのコメントがあり、セミナーは終了しました。

 セミナー終了後、会場を移して懇親会が行われました。懇親会では、今回のセミナーで登壇いただきました皆様との名刺交換や、参加者同士の交流・情報交換等が活発に行われていました。

参考資料