平成21年 CSAJ会長年頭挨拶

新たな経済成長と国際競争力を支えるための
ソフトウェア産業を目指して

社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)
会長 和田 成史

 あけましておめでとうございます。平成21年の年頭にあたりご挨拶申し上げます。
 皆様には、平素より協会の事業・活動に対し格段にご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。本年もなお一層のご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
 世界経済は、サブプライム問題に端を発する金融危機の影響を受けて一段と減速する様相をみせており、外需依存度の高い日本経済も極めて厳しい状況に直面しております。実際、昨年の暮れに発表された2008年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の改定値が、年率換算で前期比1.8%減とITバブル崩壊後の2001年度以来7年ぶりのマイナス成長を記録するなど各種の経済指標をみても、景気の後退がはっきりしてまいりました。
 こうした状況の中で、情報投資への悪影響が懸念されておりますが、ITやソフトウェアの重要性に変化が生じたわけではありません。ITは生産性を飛躍的に向上させ豊かな生活を実現する重要な鍵でありますし、電話やインターネットを含む情報通信ネットワークはもちろん、電気、ガス、交通機関、金融システムなどの社会インフラから家庭内のさまざまな機器までコンピュータによってコントロールされる世界になっていることを考えると、社会のITやソフトウェアへの依存度は高まる一方であり、ソフトウェアは、社会インフラや企業活動はもちろん、我々の日常生活を支える情報システムの要としてますます重要度が高まっています。
 (社)コンピュータソフトウェア協会は、その重要性が増しているソフトウェア製品に係わる企業が約500社集まり、ソフトウェア産業の発展に係わる事業を通じて、我が国産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的としている団体であり、オープン、フェア、グローバルを3つの柱に、各種の活動を展開しております。
 そこで、ソフトウェア業界の課題について展望いたしますと、足下の景気悪化への対策は別にして、中長期的な視点に立てば、資源に乏しく人口減少が進む日本にとってソフトウェアに対する期待は非常に大きなものがあります。そのような中、当協会として取り組んでいくべき特に重要な課題は、SaaS(Software as a Service)やクラウドコンピューティングといったソフトウェアにおける大きな潮流の変化への対応、情報システムの信頼性向上、高度IT人材の育成、業界の国際化、IT系ベンチャー企業の育成、プライバシーマークの付与認定審査事業を通じた個人情報保護などであると認識しております。
 まず、インターネットの向こう側にあるリソース(ハード、ソフト、データ)を利用して情報処理を行うSaaS、クラウドコンピューティングについては、日本がもつ世界最高水準のブロードバンド環境を活かして、これまでITの利活用が遅れている中小企業やサービス業の情報化を促進する原動力として大きな期待がよせられています。実際、SaaSの利用は着実に拡大しており、データセンター事業を含むASP/SaaS関連市場は、2012年に2兆円規模になるという予測もあります。しかしながら、SaaS、クラウドコンピューティングのビジネスは製品の販売ではなくサービスの提供であり、対価の回収も通信サービスのように毎月の利用料金を徴収する課金型になるため、サービスを提供する側もサービスを受ける側も、これまでのソフトウェア製品ビジネスとはいろいろと異なる面があります。当協会としても、こうした課題について、委員会・研究会の活動や調査を通し、ユーザ・ベンダ双方の課題を検討してまいります。
 情報システムの信頼性向上については、平成19年度に、中小企業の取引の多数を占めるパッケージを利用した情報システム構築のためのモデル取引・契約書の策定のための活動を(社)日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)と共同で進めてきました。これは、日本市場における特に中小ベンダと中小ユーザ間の、曖昧でトラブルの原因となり易い開発・運用等を是正するためのモデル契約・ガイドラインであり、これを普及させることによって業界の健全な発展が期待できます。当協会は、昨年に引き続き本年もこのモデル契約・ガイドラインの普及活動に貢献していこうと考えております。
 IT人材の育成については、昨年に引き続きCAD利用技術者試験等の認定試験やITSSの利活用の推進、山梨学院大学や産業能率大学等との産学連携などに加え、本年から始まるITパスポート試験の普及促進を通し、人材の育成を進めて参ります。
 ソフトウェア業界の国際化については、4年前から日中韓で持ち回り開催しているAsia Enterprise Application Forumが中国で開催予定になっており、これに協会として参加するほか、中国ビジネスに関する研究会活動、海外への視察団の派遣などを通じて業界の国際化を積極的に進めていく予定です。
 また、IT系ベンチャー企業の育成については、すでに60回以上の開催実績を誇るアライアンスビジネス交流会で、優れた技術や製品・サービスをもつ有望なベンチャー企業の発掘とビジネスマッチングの推進に努めてまいります。
 さらに、当協会は、平成19年7月に(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC)からプライバシーマーク付与認定指定機関として認定を受けており、そのプライバシーマーク付与認定審査事業の一層の拡大を目指して個人情報保護の推進に寄与して参りたいと考えております。
 以上のように、本年も引き続き、経済産業省と共に、日本のソフトウェア産業の健全な発展のみならず、日本経済の活性化のために活動してまいりますので、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、平成21年がよき年となることを心より祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。