平成24年 CSAJ会長年頭挨拶

日本の新しい経済成長に貢献する
ソフトウェア産業を目指して

社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)
会長 和田 成史

 新年あけましておめでとうございます。平成24年の年頭にあたりご挨拶申し上げます。
 皆様には、平素より協会の事業・活動に対し格段のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。本年もなお一層のご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
 昨年の日本経済は、東日本大震災とそれに伴う原発事故によって一時大混乱に陥りましたが、夏の電力不足を乗り切った後は、復旧・復興の加速に伴い徐々に持ち直しの動きが見られるようになりました。しかし、原発停止による電力不足、欧州債務問題による世界同時株安、記録的な円高などが、日本経済の先行きを不透明にしています。
 一方、日本は中長期的にみれば、人口減少と高齢化が進む中で経済成長をどのように実現するかという課題や二酸化炭素削減などの地球温暖化対策に取り組みつつ原発への依存度をどう下げていくかという課題を抱えています。
 これらの問題を解決するための重要な鍵は、ITにあります。労働人口が減少する中で新しい経済成長を実現するにはITが不可欠です。特に我が国の中小企業やサービス業におけるITの利活用については、かなり遅れた状態にあり、ITの利活用によって経営を革新し、生産性を向上させることが可能です。
また、ITとヘルスケア、ITと農業、ITとエネルギーなどITと他産業の融合領域は、新しいビジネスの創出と発展が期待される領域であります。
  (社)コンピュータソフトウェア協会は、重要性が増しているITの中核となっているソフトウェア製品に係わる企業が約440社集まり、ソフトウェア産業の発展に係わる事業を通じて、我が国産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的として活動している団体であります。
 当協会は、オープン、フェア、グローバルの基本理念を掲げ、日本が抱える課題解決に寄与するべく、様々な活動を展開してきております。今年も引き続き、クラウドやモバイル関連の新技術の研究、ソフトウェア製品の品質認定制度に関する研究と品質認証制度の創設、情報システムの信頼性向上のための「情報システム取引者育成プログラム」の推進、CAD利用技術者試験等の認定試験、産学連携等を通じた人材の育成、海外市場の開拓支援、ベンチャー企業の育成、プライバシーマーク審査事業などの活動を実施してまいります。
 まず、クラウドコンピューティングについては、これまでITの利活用が遅れている中小企業やサービス業の情報化を促進する原動力として大きな期待がよせられていますが、サービスの信頼性や安定性、セキュリティ、プラットフォームのインタオペラビリティ、インタフェースの標準化など数多くの課題があります。当協会は、こうした課題について、委員会・研究会の活動や調査を通し、ユーザ・ベンダ双方の立場から解決策の検討を推進してまいります。
 また、スマートフォンの急速な普及やタブレット、スレートPCなどのモバイル機器の多様化によって、マルチデバイス、マルチネットワーク(3G/3.9G、Wi-Fi, WiMAX)を前提としたビジネス・アプリケーションが増加することが予想されます。次世代ウェブ標準技術のHTML5などの関連技術を含め、モバイル技術の最新動向に関する研究会やセミナーを引き続き実施してまいります。
 平成22年度に研究を始めたソフトウェア製品に関する品質基準については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が進めるソフトウェア品質監査制度(仮称)との整合性を模索しつつ、JIS X 25051 (ISO/IEC 25051) に基づく品質認定制度を創設するとともに、認定申請のためにガイドブックを作成し、認定事業の試験的運用(トライアル)を開始する予定です。
 情報システムの信頼性向上については、平成22年に一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)とともに「情報システム取引者育成協議会」を設置して始めた「情報システム取引者育成プログラム」を引き続き推進してまいります。このプログラムは、パッケージソフトウェアを利用した情報システムを取引する担当者を対象に、より情報システムの信頼性・安全性の向上を図り、システム構築後のトラブルを無くすことを目的とした学習プログラムです。
 高度IT人材の育成については、CAD利用技術者試験等の認定試験やITSSの利活用の推進などに加え、ITパスポート試験の普及促進などを通じ、人材育成に貢献してまいります。
 海外市場の開拓支援については、昨年10月に交流に関する覚書を交わした中国ソフトウェア産業協会(CSIA)との交流を深めるとともに、中国を中心に海外におけるソフトウェアビジネスに関する研究会活動などを通じて会員企業の海外市場開拓を支援していく予定です。
 IT系ベンチャー企業の育成については、約90回の開催実績を誇るアライアンスビジネス交流会を核として、優れた技術や製品・サービスをもつ有望なベンチャー企業の発掘とビジネスマッチングの推進に努めてまいります。
 また、当協会は、一般社団法人日本情報経済社会推進協会からプライバシーマーク指定審査機関として指定を受けて、平成19年7月からプライバシーマークの審査事業を実施しておりますが、付与事業者の一層の拡大と個人情報保護の推進に寄与して参りたいと考えております。
 なお、当協会は4月に一般社団法人に移行する予定ですが、本年も引き続き経済産業省と共に日本のソフトウェア産業の健全な発展と日本経済の成長に寄与していきたいと考えておりますので、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、平成24年がよき年となることを心より祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。