一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

  1. Home >
  2. 最新情報 >
  3. 政策・ガイドライン等 >
  4. コラム >
  5. 専務のツブヤキ >
  6. 「専務のツブヤキ」~~危機管理、プロコン、経済政策(MMT)など~

「専務のツブヤキ」
~危機管理、プロコン、経済政策(MMT)など~

2019.11.15

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 先月は、私が審査委員をしている高専プロコン(10月13,14日)とU-22プロコン(10月20日)がありましたが、 台風の関東襲来(10月12、13日)で久々に危機管理の重要性を思い知らされました 。当初12日午後の飛行機で現地(宮崎)に行く予定でした。天気予報によれば当初より関東上陸が遅れそうでしたので12日午前中の便に変更(この時点で午前中であればJAL便は飛ぶ予定)しましたが、その後、結局午前中の便も欠航になりました。前日11日の便に変更することも考えましたが、時既に遅しで全便満席でした。それで13日の午前中の便に変更したのですが、段々天気予報で関東上陸の時間が遅れてきたので、まだ席があるうちにと思い、早めに夕方の便に変更したのですが、これが正解でした。13日午前中の便はその後予想通り欠航になり、その時には午後の便は既に満席でした。高専プロコンには、13日のプレゼン審査は欠席になりましたが、夜の懇親会での来賓挨拶、翌14日のデモ審査、閉会式には無事出席できました。ところが、審査員長は飛行機便を変更し損ねたのでしょうか、14日の最終日に到着したものの、審査は出来ず審査の講評も別の方が代行することになりました。

 前座が長くなりましたが、ここで危機管理の教訓です。私的には、 (1)常に最悪の事態を想定しておくことと、(2)マメに最新の状況(情報)を確認し、特に状況の変化の方向を見定めること の2点です。(1)に関して反省ですが、最初に12日の羽田便の大半が欠航になりそうなとき、最悪の事態を想定して、(満席になる前)早めに11日の便に変更していれば、プレゼン審査にも間に合い審査に穴をあけることもありませんでした。(2)に関して、これは正解だったのですが、天気予報を見るたびに台風の上陸時間が遅れ気味(状況の変化の方向)でしたので、13日午前中の便を夕方の便に早めに変更したことでした。欠航が決まってからであれば既に満席で夕刻の便には乗れなかったでしょう。上記危機管理の要点、2点は私も以前から重々承知していたのですが、分かっていてもいざとなるとなかなか実行できないものだなと実感した次第です。最悪なのは 水戸黄門パターン です。「もうちょっと様子を見ましょう」と ドラマではいつも事態をますます悪化 させます 。最後に起死回生の印籠が出てきてドラマとしては痛快なのですが、印籠を持たない 我々庶民には見習えません 。一方、上記危機管理の要点に従った先日の安倍総理の来年度「桜を見る会」の中止即断は妥当であり、 安倍内閣の危機管理はしっかりしていると評価 する次第です。

 10月20日のU-22プロコンの審査は今回で4回目です。今回は 言語分野でなんと中学生が経済産業大臣賞 を受賞しました。私は、言語分野の作品についてはあまり評価に自信が無かったので、これまでは評価は棄権していたのですが、今回だけは高評価を付けました。というのは、プレゼンで同じプログラムをC言語で記述した場合と自身が開発した言語で記述した場合の比較を見せてくれて、明らかに彼の開発した言語の記述の方がすっきりしていて、優れていることが一目瞭然だったからです。また、耳を疑ったのですが、その言語を開発し始めたのが、今年の7月初めからというではありませんか?じゃ、この言語を開発した期間は如何ほど?と衝撃を受けました。一次審査から最終審査にかけても半端ないくらいにブラッシュアップされていました。また、別の審査員が当該言語で記述したプログラムのパフォーマンスについても質問したのですが、説得力のある回答で問題なしと判断できました。 このような人材を発掘できたU-22プロコンというイベントを主催する団体の専務理事であることを大変誇りに思うとともに、今後、未踏などに進んでさらに成長し、是非日本のIT産業の未来を担ってほしいと大いに期待 する次第です。

 最後に、先日『サンデー毎日』(11月17日号)という週刊誌に、 MMT(Modern Manetary Theory:現代貨幣理論) という記事が出ていました。基本的にはMMTを批判する記事でしたが興味深い内容でしたのでちょっとツブヤキたいと思います。ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授の理論のようですが、要は 「自国通貨建て」と「インフレにならない限り」という二つの条件さえクリアすれば「いくら借金しても宜しい」、つまり財政規律は気にしなくてよい という(夢のような)理論です。記事では、最終的には「アベノミクス」の批判が目的らしく、金融政策(大規模な金融緩和)が上手くいかないので、今度は財政政策に逃げようとしている、それが最終的には制御できないインフレを招いたらどうするつもりか?という趣旨でした。でも、国債の発行額はどんどん増えて1000兆円にもなるのに、過去20年ほど日本はずーっとデフレですし、長期金利も今やマイナス、本当に制御できないインフレ(金利は高騰)の心配なんかする必要があるんですかね(むしろ心配するならデフレでしょう)と個人的には思わざるを得ません。実は、4年前住宅ローンを組んだのですが、金利を固定か、変動か、で迷ったのですが、当時は根拠なく直感で、 今後も金利が上がる気がせず変動金利にしましたがMMTによれば正解 だったようです。事実、ローン金利は今のところ上がる気配はありません。だた、このMMT、これまでの政府の経済政策と真逆のことを言っていますのであまり声高に叫ぶとヤバいようです。私も気を付けないと、、、(笑)

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。