一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

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「専務のツブヤキ」
~デジタルプラットフォーマーへの規制と5Gの推進~

2020.02.15

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 ようやく一連の各団体の賀詞交換会も一息つき、平常モードになってきました。私的には、 次世代AI人材の育成プログラム の開発が佳境を迎えてていることや、厚生労働省から「 就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース事業 」が公募されるなど、その対応・準備に追われているところです。AIは5G(超高速、同時多接続、低遅延)の先取りではありませんが、令和2年度に 東京・大阪で遠隔授業のシステムを使って研修を実施する予定 であり、関西の会員企業の満足度向上につながればと期待しているところです。就職氷河期対策は国からのIT分野でのCSAJへの役割に対する期待が高く、身が引き締まる思いです。昨今は年金も専門家の中には70歳への引き上げなど主張する方もおられ、40代でIT分野に入ってきても70歳なら20~30年は働けることを考えれば「 ミドル新卒 」のように考えても良いのかなと思う次第です。

 さて、1月20日に国会が開幕しましたが、IT業界的には「 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入促進に関する法律 」及び「 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律 」が最も注目すべき法律かと思います。

 最初の法律は、国が5Gの開発供給及び導入促進に関する指針を策定して当該指針に基づいて、 ベンダーが作成する「開発供給計画」及びキャリアが作成する「導入計画」を国が認定する制度を創設 する建付けとなっています。これらの計画に係る事業については5G投資促進税制や開発・実証の予算等で国が支援しますが、 ドローン(基本的に監視用の小型のものを想定しており、主務大臣は経済産業大臣)も対象 に入っている点がちょっと面白いです。ちなみに、5G税制は、税額控除15%又は特別償却30%及び固定資産税の3年間減免1/2と非常に手厚いものとなっています。税制の支援対象は当然情報通信機器サプライチェーン全体に及びますので半導体、通信設備は言うに及ばず、 ソフトウェアも対象 となっている点は見逃せませんね。

 次の法律ですが、まず、規制の対象となる「デジタルプラットフォーム」は以下の3点の要件で定義されます。それは、

①デジタルで売り買いの 取引を繋ぐ場(多面市場)を提供 すること、

インターネットを通じ提供 していること、

ネットワーク効果 を利用したサービスであること です。

 最後のネットワーク効果とは、商品の提供者と需要者の互いの増加がより便益を増大させ双方の数がさらに増加する(規模のメリット)のことです。同法律では、上記要件を満たすデジタルプラットフォーム提供者の内、分野や規模のメルクマールを定めて、特に取引の透明性・公正性を高める必要性の高いものを「 特定デジタルプラットフォーム(特定DPF) 」として政令で定めて規制します。

 となると気になるのが、 分野や規模のメルクマール ですよね。具体的な基準的なものはまだわからないのですが、国民生活や国民経済への影響の大きさ、利用の集中の度合い、取引の実情や動向を踏まえた商品等の提供者の保護の必要性、他の規制や施策での対応の状況などが考えられ、 当面は大規模なオンラインモールやアプリストアなどが対象 となりそうです。ただ、 将来的には、広告やSNSなども規制の対象になる可能性 はあるかもしれませんね。

 同法律ができますと、特定DPFは、取引を拒絶する判断基準、他のサービスの利用を要請する場合にその趣旨・理由、契約の変更や契約に無い作業養成等を行う場合に事前に内容と理由の通知、検索順位を決定する基本的な事項(アルゴリズムの開示ではない)、特定DPF提供者が取得・使用sるデータの内容、条件、利用者によるデータの取得・仕様の可否とその範囲、方法等を利用者や取引事業者に開示することが義務付けられます。

 また、その実施状況とその自己評価を付したレポートを経済産業大臣に対し毎年度提出しなければならなくなります。ただ、 これらの規制はネット通販などを考えると必ずしも安く買いたいという消費者の意向と相反する部分もあり、そのバランスが難しいかもしれない と思う次第です。

 いずれにしろ、私としては今後も5G及びDPFの動向から目が離せない状況です。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。